2010年 09月 08日
マイナスとプラス |
棟方志功は、八女の手すき和紙を愛用していたとされますが、その刷りの技法は独特で裏から彩色するのだそうです。
棟方志功は、浮かんだインスピレーションで版画を一気に彫り上げ、すぐに刷るというスピード感は棟方志功ならでは。
版画にはあまり適していないと言われていた八女手すき和紙を使っていたのは、その作品の個性と同じく、八女手すき和紙の強い個性がぴったりと合っていたのかもしれませんね。
その時の勢いで一気に彫り上げると、思わぬ線が出るので版画として面白いと倉富さん自身、作品を作る中で感じるそうです。
その際には下絵も書かず短時間で彫り上げるそうです。
版画の作品に応じて、篆刻も御自分で彫られます。
沢山の篆刻の中に、竹の節の部分で作ったものもありました。
本棚には篆刻や文字に関する本も沢山あり、ただその知識、その創作活動の幅広さに圧倒されます。
樹木の漢字をモチーフにデザインされたもの。
この作品は以前、伊藤工芸さんでもお見かけしました。
倉富さんの版画の和紙は、八女手すき和紙をされている松尾和紙工房さんのものです。
倉富さんが版画を始めた理由の一つに、字を書くのが下手だとう意識があったから。
字を書くのは下手だけど、版画で彫ったものなら下手でも面白いのではないかと思い始めたそうです。
コンプレックスを原動力に、こんな素敵な版画が出来るのであれば、マイナスと思っている事は、実はプラスに繋がっているのかもしれないと思いました。
by yame-kougeikan
| 2010-09-08 10:32
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